2016年11月7日月曜日

LANDRレビュー[自動] VS [人力] マスタリング 音源比較


ふだんマスタリングの仕事をやっている
自分としても少し気になっていた
巷で噂のオンライン全自動マスタリングサービス
LANDR」と「eMastered

その実力はいかに。。。
ってことで、試してみました。




テスト用の音源として、
12月初旬にリリースとなる『STUBBIE RECORDS』の
企画・監修によるコンピレーションアルバムからの1曲で
実際にスタビーでマスタリングした曲のオリジナル2ミックスを、
「LANDR」と「eMastered」を使って試してみました。


今回の楽曲は、2ミックス段階で低域をしっかり入れてあり、
2ミックス時に音圧をそれほど上げずにバランスをとってあるため、
マスタリング段階で、音圧を上げてイコライジング調整するのが
すこし難易度高めの楽曲となります。



以下、その比較音源です。
(すべてMP3で統一してあります。)


●元のオリジナル2ミックス(MP3)




●「スタビーマスタリング」で市販の音源レベルまでマスタリングしたバージョン(MP3)
(完成版のWAVからMP3に変換してあります。)




●「LANDR」でマスタリングしたバージョン(MP3)
(無料で出力できるMP3バージョン。音圧は一番高い設定。)




●「eMastered」でマスタリングしたバージョン(MP3)
(MP3ファイルの出力も有料になっています。)




「LANDR」と「eMastered」の使い方ですが
どちらも音源のファイルをアップロードして
1分ほど(!)でマスタリング完了です。


で、試してみた感想ですが、
「LANDR」と「eMastered」のどちらも
“安全圏”でのマスタリングになっているということ。

つまり、音圧とイコライジングを比較的コントロールしやすい
浅いレベルでの調整になっている点です。

(「LANDR」は一番高い音圧を選択しましたが、
同じく、浅いレベルでの調整になっていました。)


ちなみに、今回の楽曲を、この浅いレベルから
さらに突っ込んで、製品レベルまで音圧を上げつつ、
イコライジングバランスを取っていく作業は
マスタリングの技術としては、難易度が倍増します。


あと「eMastered」の方は、ダイナミクスの処理で、
音が集まる箇所で、圧がかかりすぎて
やや潰れてしまう点が気になりました。



DAWの環境があるミュージシャンであれば、
昨今のマスタリング用プラグインのプリセットなどを使えば、
「LANDR」や「eMastered」くらいの音圧感は、
容易に調整できるレベルかと思われます。



デモ音源などをさくっと上げたいって用途には
良いかもです。



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スタビーマスタリング
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2016年7月5日火曜日

DCケーブルの比較


スタビー所有のEQモジュールのラッキングで
外付けのDC24V電源が必要になり、
ToneFlake佐藤氏にカスタムで作ってもらいました。

なんとディスクリート回路(!)で組んでもらっています。


EQ本体のシャーシラックがまだできていないので、
ひとまず、ヘッドホンアンプの電源として、
DC電源用のケーブルをあれこれ試してみました。


DC電源用のケーブルには、
オーディオのライン/マイク用のケーブルを使っている場合が多いとのことと、
今回、シールド線も使用しなければいけなかったので、
シールド付きのケーブルをいろいろ取り寄せて比較してみました。


ケーブルを交換しやすいように
ネジ留できるDCプラグで試してみました。
(オヤイデから販売されている
太いケーブルも使えるDCプラグも試したかったのですが、
なんと品切れ中でした。。。)


以下、その感想です。


MOGAMI 2534
4芯の仕様。低域がすっきりする分、重心が上がって、
高域は華やかに。キックなどのボトム感やアタック感は少な目。



Belden 82761
たしか、チャンドラーリミテッドのアビーロードシリーズの
PSUでもこの白いケーブルが使われていたような気がします。
音像はタイトでやや派手。分離がよく、レンジが広い。
音のスピード感、アタック感、エネルギー感などとても好印象。
音の立ちが良く、鮮度の良さを感じる、すこし高域で強調される帯域があり、
リバーブなどもやや強調される。




Belden 8423
3芯の仕様。レンジが広くゆとりのある音で好印象。
音が球体に近づくイメージ。
フラット寄りな印象。




Belden 8412
上記のBelden 8423と非常に似た構造で、
8423は3芯なのに対して、こちらの8412は2芯。
音の方は、なぜか、8423よりもレンジが狭くなります。
余談ですが、以前、この8423と8412は、
ヘッドホンの延長ケーブルでも比較したことがあるのですが、
同じ印象がありました。




Belden 1503A
上記のBelden 8423と似たような傾向ですが、
すこしタイトで、レンジがやや狭い印象。




Exton EXR-A2000
手元少し余っていたので試してみたのですが、
上下のレンジが狭く、あまりピンときませんでした。




OYAIDE  UL1430-18
PCOCC-A撚り線のケーブル(シールド無し)です。
今回、2芯シールド線が必要だったため、
シールド線が付いたケーブルをメインで試してみたのですが、
最後にこの線も試してみたところ、
たいへんバランスが良く、好印象でした。
パッと聴きは、上記のBelden 8423にも近いのですが、
さらに、歌などのメインの表情が良く見え、
音の立ちも良く、レンジもすこし広く感じました。


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総評:

スタビーでもこれまで
AC電源ケーブルは、いろいろ試してきましたが、
DC電源ケーブルは、初めての比較でした。
実際に比較してみて、DC側のケーブルも
ここぞという機材には、きちんと選ぶことが大切かと思いました。
今回、試した中だと、Belden 82761とBelden 8423と
OYAIDE UL1430-18が好印象でした。

また、今回のテストしたモニター用のヘッドホンアンプなどは
フラット寄りの音にセッティングしたいため、
最終的にBelden 8423か、OYAIDE UL1430-18で迷いましたが、
よりスピーカのモニターに近いディティールが表現できる
「OYAIDE UL1430-18」を選びました。

この OYAIDE UL1430-18ですが、
ギターのエフェクターなどの
DC電源ケーブルにも良さそうですので
そのうち使ってみようかと思います。

Belden 82761は、レコーディングの際などに
アクセントを付けたい機材に使うと
攻めの使い方ができて良いのではと思いました。

あと、今回のディスクリートDC24V電源ですが、
たいへん素晴らしい効果がありました。

ヘッドホンアンプは、
元々、普通のDC24Vアダプターで稼働させていたのですが、
今回のディスクリート電源でベールが2~3枚剥がれたような感じで
レンジ感も広がり、ざわつきが消えて、
ヘッドホンの音が実際のモニターの音に近づき、
とても良い音になりました。


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スタビーマスタリング
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2016年6月25日土曜日

仮谷せいら / Colorful World


先日、スタビーでマスタリングを担当しました。


仮谷せいら / Colorful World






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2016年4月15日金曜日

コンプ道~マスタリング編『ボトムエンドとハイエンド』

使い込むほどにコンプの奥深さを身に染みて感じている今日この頃。



みなさん、日々のサウンドメイクで
コンプやリミッターを使われていると思うのですが、
もちろん、スタビーでもマスタリング時に使っています。

とくに、このマスタリングでコンプ/リミッターを使う際に
注意深くチェックしてほしいのは、
ボトムエンドとハイエンドの部分。

よく、ガッツや太さを得るためにコンプを使うことが多いと思うのですが、
かけ方によっては、音圧は上がっているものの、
ボトムエンドやハイエンドが削れてしまって、
結果、ガッツや音の太さが得られないなんてことも多々あります。

とくにマスタリング時は、
楽器やボーカル単体のダイナミクス処理と違って、
2ミックスを処理することになり、
EQバランスが全周波数帯で満たされた(飽和に近い)状態で
処理することになるため、
ちょっとしたツマミのサジ加減で
仕上がりに大きな差が出てきます。

コツはいろいろありますが、
まずは、このボトムエンドとハイエンドに注意しながら、
お使いのコンプのセッティングをいろいろ試して探ってみましょう。

逆にアナログ処理時にコンプの部分で、
削れてしまったボトムエンドとハイエンドは
元に戻せませんので要注意です!

チェックの仕方としては、
コンプをかける前の元音(オリジナル)と
コンプを通した音を並べて、
同じくらいの聴感上のボリュームに揃え、
聴き比べれば、一聴瞭然(?)です。

(コンプでボリューム感が上がった状態では、
削れてしまった部分が見つけにくいので、
かならずボリュームをある程度そろえてチェックしましょう。)


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2016年2月3日水曜日

マスターEQ




スタビーで使用している
70年代のドイツ製の5バンドのパラメトリックEQ
K&H UE400 !!!
をご紹介します。


フランスの名門マスタリングスタジオ『Color Sound』でも
メインで使用されているEQになります。

このEQでしか再現できないニュアンスがあるんですよね。


じつは、何年か前に
このEQを入手したことがあるのですが、
2度のフルリキャップ(コンデンサー交換)で
音をさらに良くしようと試みるも、
元々のオリジナルの状態の方が音が良かったなー
という結果になり、
オリジナルのコンディションで
状態の良いものをずっと探していました。

これまで、マスタリング用のEQは、
SONTEC MES-432やMEP-250EX、MEP-250Cをはじめ、
いろいろんなEQを試してきました。
SONTECは、色付けの少ない、たいへん良いEQだったのですが、
個人的にいまいち物足りなくなってしまいまして、
通すだけで音が良くなるような入出力のトランスを搭載した
EQの方が好みだなーという結果に至り、
グッ!ときたのがこのEQです。

このEQですが、
トランスの色付けが濃すぎず、
そして、ディスクリートのアンプ回路がとても良いのでしょうね。

たいへんミュージカル(音楽的)なバランスの良い音で、
ナチュラルなイコライジングができます。

マッチする電源ケーブルなどに交換すると、
さらに、通すだけでサウンドに元気が出るというか、
上下のレンジ感もあって、太くパワー感が増します。


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2016年1月15日金曜日

HIKAKIN & SEIKIN / YouTubeテーマソング



先日、スタビーでマスタリングを担当しました。


HIKAKIN & SEIKIN / YouTubeテーマソング








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2016年1月10日日曜日

ミックスの落とし穴

今月はけっこうたくさんのマスタリングをやらせていただきまして、ミックスの仕上げで気づいた点があるので、ここに残しておきます。




ミックスのバランスをとる時、皆さんはマスターフェーダーの位置は、どこにおいてやっていますか?

ミッ クスをやっていると、ありがちなやり方として、各トラックのフェーダーでバランスをとっていると、マスター出力部分で赤ランプが付いてしまい、それで、マ スターフェーダーをどんどん下げて帳尻を合わせていくという流れ。結果、各トラックのフェーダーは上がり、マスターフェーダーは下がっていくという。


自分でも実際に試して比較してみたのですが、これ、ぜったいにやめた方が良いです。


上記のようにやると、ソフトの表示上は赤ランプなど付かず、いっけん平和に見えますが、おそらく、マスターフェーダーに入る手前で、音が飽和しているためか、じつはサウンドがどんどん詰まってきてしまっています。

結果、余計なEQやコンプ処理とかが増えてくるので、サウンドが濁ってくるんですね。

(検証していないのでなんともいえませんが、同じようなことが、各トラックをグループでまとめる際も言えるかもしれません。)

マスタリングをやるときに、音圧やEQバランスを取りにくい音源がたまにあったりするのですが、じつは上記のようなケースが多かったりします。

基本は、マスターフェーダーはゼロの位置で固定。で、各楽器のフェーダーを下げて、マスター出力の赤ランプが付かないように、バランスをとるようにしましょう。

マ スターを下げてバランスとったものと、マスターをゼロの位置で各トラックのフェーダーを下げてバランスとった音源を比較してみると分かるのですが、マス ターを下げてバランスとった音源は、中高域に音が詰まってしまって、広がりや奥行き感が無くなっていって、低域のボトム感も少なくなってしまいます。

逆に、マスターをゼロの位置でバランスとったものは、低域から高域までのEQバランスも良く、マスタリングの際もたいへん扱いやすいサウンドに仕上がることが多いです。


これ、サウンドの仕上がりにすごい差がでますので、心当たりのある方は、ぜひ試して比較してみてください。


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